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好きな仕事に出会えたことが人生で一番の喜びです
by 伽羅 香
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『伽羅のこと』
5×年前に小さな都会に
生まれ、そこで育ち・・・
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"Winter Hawk" Skin
by Animal Skin
その人がその人でなくなる時
私が勤務する病院では、脳梗塞や脳出血などの脳血管障害や
事故によって脳の一部が壊された方や、高齢による脳萎縮や
認知症の方が入院患者さんのほとんどです。
年齢もさまざまで50歳代~80歳代。

ひと口に脳血管障害と言っても、脳が障害を受けた部位によって
症状も障害の程度も千差万別。
例えば、言語障害ひとつをとっても「呂律が回りにくい」、たどたど
しいけれど「ひとつひとつの言葉をつなげられ文章として成り立つ」、
「単語しか出てこない(文章が成り立たない)」、「あれ・・・それ・・・
そっち・・・のように物の名前が出ない」「すらすらとお話はされるけど
内容があちらこちらと飛んでしまう」などなどです。

病気になり子どもに還ったかのように思われるお年寄りには、何度も
同じ話を繰り返されることが多いけれど、「うんうん。そうね。」と言い
ながらお話を聞いてあげると嬉しそうにされます。

でも、今年の初め頃だったと思いますが退院された患者さんは、
50歳代前半の女の方で右半身麻痺と言語障害がありました。
彼女は物の名前がなかなか言えないのと、単語を繋げることが出来ない
ので意思の疎通が難しかった記憶があります。
自分を失うほどの障害があったわけではなかったので、排泄を失敗して
オムツを替える時は「恥ずかしい」と。
また、ある時には自分の思いが私達に伝わらず、悔しい思いが涙となり
怒りとなり・・・そういう場面も何度かありました。
娘さんと息子さんがひとりずつみえましたが、母らしさ・その人らしさを
失わず子どもさんにとっては幸せだったのではないかと思えた患者さん
でした。

こんな話を始めたのは(前置きが長くなってしまったようで申し訳ないの
ですが)、昨夜の夜勤で入院されて間もない患者さんに驚かされた事が
あったからです。
申し送りでは「食事がほとんど自分で食べられないので要介助」「昼間は
トイレで排泄するけれど夜間はおむつを使用する」「入れ歯が合わないので
新しく作り変えた方がいい」などでした。
夕食が終わりトイレで排泄を済ませ病室のベッドに休ませました。
少し熱もあり消灯時間の見回りの時にアイスノンを交換しましたが、頭を
上げてくれたり言葉かけに頷いてくれたりと穏やかな雰囲気だったの
ですが・・・

午前0時の巡視を兼ねたおむつ交換の時でした。
「なんで勝手なことばっかりするんだよ!バカ野郎!止めてくれ!」と
罵声とも怒声とも思える言葉を浴びせられ、麻痺のない方の足で蹴られる
寸前だったので、何か気に障ることをしたのかと驚くばかりでした。
ところが、朝になって着替えを手伝おうとした別のスタッフにも怒鳴っている
のが聞こえ、彼女も私と同じように驚いていました。
この方が最初に入院された病院のサマリーには、どこを探してもこういった
言動がある事は載っていません。
ただ「入院後、不穏があり睡眠前に安定剤を使用してからは消失しています」
というような記載はあります。
昨日の日勤者からの申し送りでも同じです。

入院されている患者さんの中には、昼の顔と夜の顔を持ってみえる方がいます。
この人もそういう患者さんのひとりです。
昼間、面会や付き添いで来ている家族や知人には見せないもう一人の自分、
たぶん夜勤をしている私達だけが知る「その人がその人でなくなる時」なの
かもしれません。
もし、自分の親が父らしさ・母らしさを失い、子どもや夫・妻である自分にさえ
「あなた誰?」と問いかけた時、家族はどのような思いで病んでしまった肉親
を受け止めるのだろうと、そんなことを思いながら過ごした一夜でした。
Top▲ by kyara_no_kaori | 2006-05-08 17:08 | 日々徒然に
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